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破産法
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破産法改正の目的

破産法は、大正11年、今からおよそ90年以上も前に作られた古法ですが、昭和27年の免責制度の導入以降、特に大幅な改正はなされていません。

そんな従来の破産法を全面的に見直し改正を加えた新破産法が、平成17年1月1日より、新たに施行されることとなりました。

今回の破産法改正の目的は、手続の簡素化・迅速化を図り、蓄積された判例や実務の動向を条文化することによって、現代社会により適合した機能的なものに改めることです。

バブル経済崩壊後の様々な社会経済構造の変化に伴い、いまだ高水準を維持し続けている自己破産件数の問題は、依然、深刻なものですが、この新法により、個人の自己破産者は、旧法に比べると再起が比較的容易なものになったということができます。

※ 平成15年の24万件をピークに、年々減少傾向にあり、平成24年度には10万件を下回るまでになりました。



自己破産者(個人)に影響する主要な改正点

名称の変更
旧破産法の下では、これまで「破産宣告」という言葉が使われてきましたが、イメージが悪い(?)ということで「破産手続開始決定」と呼称を変更しています。
( 旧 破産法 )
破産宣告決定
矢印
( 新 破産法 )
破産手続開始決定
(破産手続開始の決定)

第30条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする…

【破産法30条1項より】
破産手続きと免責手続きの一体化
破産手続と免責手続の申立ては、別個に行う…

というのが、借金地獄に陥った債務者が取るべき旧法の下での自己破産制度でしたが、債務者が特に免責拒否の意思表示をしていない限り、破産手続開始の申立が行われた際には、同時に免責の申立もあったとみなすことにしました。
(免責許可の申立て)

個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては、破産者。第四項を除き、以下この節において同じ。)は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に、破産裁判所に対し、免責許可の申立てをすることができる。

2.前項の債務者(以下この節において「債務者」という。)は、その責めに帰することができない事由により同項に規定する期間内に免責許可の申立てをすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、当該申立てをすることができる。

3.免責許可の申立てをするには、最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者名簿を提出しなければならない。ただし、当該申立てと同時に債権者名簿を提出することができないときは、当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。

4.債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし、当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは、この限りでない…

【破産法248条より】
破産者の手元に残される自由財産の拡張
自由財産とは、破産者自ら管理処分することのできる財産、つまり持っていても差し押さえられない財産のことです。

破産者が所有している財産を債権者に公平に分配するのが破産制度ですが、自己破産者も、当然、今後も生活をしていかなければならないため、一定の財産においては自由に処分してもいいですよ!と法によって定められています。

新破産法では、この自由財産の範囲を拡張することで、破産者の経済的更生と維持をより図ることにしました。

もっとも、自己破産の申立をする人で、100万円近い現金を所持しているような方は少ないかと思われますが・・・
( 旧 破産法 )
現金で66万円
矢印
( 新 破産法 )
現金で99万円
※ 自由財産となる99万円は、標準的な世帯3ヶ月分の必要生活費を勘案して定められていますが、あくまで現金での所持であり、預貯金として持っていた場合には、20万円を超えると自由財産とはならず、裁判所に提出しなければなりません。

※ 従来は2ヶ月分………66万円(平成16年4月1日より、新政令によって33万円/月)それ以前は1ヶ月分…21万円(旧政令の下では21万円/月)
自由財産
免責手続き中の強制執行の禁止
旧破産法の下では、破産宣告(新破産法により「破産手続開始決定」に変更)後に申立てる免責の審理期間中に、債権者が債務者の財産に強制執行をかけることができました。

強制執行とは、国家機関が権利者の権利内容を強制的に実現してくれる手続ですが、ケースによっては免責の決定が確定するまで、ある程度、時間を要するため、免責審理中にこの強制執行を許してしまうと、破産者の生活が危ういものとなってしまう恐れがでてきます。

そこで、破産者の更生・再生の障害になっていた、この免責審理期間中の強制執行を改善するため、新破産法の下では、免責決定が確定するまで債権者が個別的に強制執行を行うことを禁止しました。
(強制執行の禁止等)

免責許可の申立てがあり、かつ、第216条第1項の規定による破産手続廃止の決定、第217条第1項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第220条第1項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え若しくは仮処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)又は破産債権に基づく国税滞納処分はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続で破産者の財産に対して既にされているものは中止する。

2.免責許可の決定が確定したときは、前項の規定により中止した破産債権に基づく強制執行等の手続は、その効力を失う。

【破産法249条より】



免責期間の短縮
旧破産法の下では、過去10年間に1度でも免責を受けている破産者は、免責不許可事由にあたるとして免責は下りませんでしたが、新破産法では制限期間を7年に短縮することで破産をしやすくしました。

さらに、たとえ7年以内に免責された経歴があったとしても、再び破産に至った事情などを考慮して免責することも可能としています。
(免責許可の決定の要件等)

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

……(中略)……

10.次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。

イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日

ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日

ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日

……(中略)……

2.前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる

【破産法252条より】


利息制限法と出資法の基礎知識

ところで、自己破産とは債務超過に陥った債務者の財産をすべて換金し、債権者に平等に分配する強制執行手続です。

つまり、自己破産の申立てをするということは、債務者のすべての債務を対象とするため、一部の債務だけを除外するということはできません。(住宅ローンは除外し、マイホームだけは残したい…等)

もし多額の借金を抱えた債務者が、ある一部の財産を残したまま、債務整理を行いたいという場合には、自己破産以外の借金整理法(任意整理、特定調停など)を考えなければなりません。

そこで、自己破産以外の債務整理を考えている方は、破産法以外にも知っておいた方がよい法知識というものがあります。

その代表的な法律が〝利息制限法〟と〝出資法〟です。