本文へスキップ

自己破産と免責

免責の基礎知識program

自己破産と免責は別物?

自己破産免責許可の申立て手続きは別個に行う…

というのが、借金地獄に陥った債務者が取るべき、かつての自己破産制度であって、免責の申立は、同時廃止の場合、破産宣告後、1ヶ月以内に行うものとされていました。

※ 同時廃止とは? … 債務者の財産が一定の金額に満たない場合、財産の換価や債権者への配当をすることなく、破産宣告と同時に破産手続を終了させてしまうこと。

ところが、H16年の破産法改正(H17.1.1〜施行)により、破産手続開始の申立が行われた場合には、 免責許可の申立ても同時に行われたものとみなしますよ!と、手続きが一体化されることになりました。

手続きの一本化

※ ただし、債務者が破産手続開始の申立ての際、反対の意思表示、つまり免責の申立をしない旨を特に述べた場合は除く。

莫大な借金を抱えた多重債務者等が、自ら自己破産の申立を行うのは、免責許可を得ることが最終的な目的であって、特に免責申立て手続きを別個にする必要がないという実情があったことから、手続きの迅速化を兼ね、今回の法改正により一体化したということができます。



ところで、大抵の方は破産の申立てをして破産手続開始決定を受けさえすれば、すべての借金がチャラになると思っているようですが、それは大きな間違いです。

法が認める自己破産制度とは、この免責許可を受けることで、初めて借金がなくなるので、弁護士等の法律専門家に債務整理の相談・依頼を考えている方であっても、その点は十分、理解しておく必要があるかと思います。


自己破産とは…

自己破産とは、借金地獄に陥り、経済的に破綻してしまった債務者の経済的更生を支援し、新たな人生の再スタートを切ってもらおうと国が用意した救済制度のひとつです。

破産手続きには、裁判所に対し、債権者から申立を行うケースと、借金を抱えた債務者本人が、自ら申立を行う2つのケースがありますが、世間一般では後者を自己破産≠ニ呼んでいます。

バブル崩壊後、多額の借金を抱えた中高年破産者が増加しましたが、近年はサラ金等の複数の消費者金融から借入れはしたものの、高金利の返済に絶えられなくなった主婦やフリーターの自己破産者が目立っています。

自己破産とは、裁判所を通じて借金をなくす手続きのことですが、先にも述べたように、自己破産する上で最も重要なことは、破産手続開始決定(← 破産法改正により、かつての「破産宣告」から名称変更)を受けることよりも、免責の許可をもらうことの方が重要です。


免責とは…

自己破産者が借金の支払いを免除してもらうために必要なもの・・・それが免責許可です。

破産手続開始決定を受けただけでは抱え込んだ借金はなくならず、債務者は免責許可を受けるこによって、はじめて借金がチャラになります。

そこで、裁判所は免責を許可することが妥当であるかどうか、破産者(債務者)の審理を行いますが、「借りたお金は返す!」が至極当然の行為なので、必ずしも免責許可が下りるとは限りません。

※ ただし、破産手続きに誠実に協力している者であれば、よほどのことがない限り、免責不許可になるケースは稀なようです。

破産原因によっては、借金を免除し支払義務をなくすことが相応しくないとして、免責不許可となるケースもあるので、自己破産を考えている方は、その免責不許可事由について、多少なりとも知っておく必要があるでしょう。


免責不許可事由について

債務者の免責許可を決定するこで最も不利益を被る者は、他でもない債権者です。

そこで、裁判所は各債権者に対し意見を述べる機会を与え、提出された資料や関係者の意見を基に、免責許可の有無を判断しますが、その際、免責不許可事由として考えられる要因としては、主に次のような行為が挙げられます【破産法第252条】。

チェック 債権者を害する目的で、財産を隠したり、損壊したりして、その価値を不当に減少させる行為
チェック 著しく不利益な条件で債務を負担、または信用取引により商品を買い入れることによって、著しく不利益な条件で財産を処分したりすること
チェック 特定の債権者に対する債務について、特別の利益を与える目的(または他の債権者を害する目的)で、担保の供与や弁済期日前に弁済する行為
チェック 浪費または賭博(いわゆるギャンブル)、その他の射幸行為によって、著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したこと
チェック 破産の決定1年以内の間に、破産の原因となる事実があることを知りながら、相手を騙して信用取引により財産を取得したこと
チェック 業務及び財産状況に関する帳簿や書類、その他の物件を、隠匿、偽造、又は変造したこと
チェック 裁判所に対し、虚偽の債権者一覧表や陳述書を提出したり、破産に至った経緯等に関する説明の拒否、または虚偽の説明をしたこと
チェック 不正手段により、破産管財人等の職務妨害をしたこと
チェック 次に掲げる3つの事由のいずれかがある場合において、それぞれが定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと

1.免責許可の決定が確定したこと(当該免責許可の決定の確定の日)
2.民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
3.民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
チェック 破産法が規定する破産者の義務に違反したこと

上記に掲載した免責不許可事由とは、あくまで裁判官が免責を不許可にすることができる事由にすぎません。

つまり、必ずしも免責不許可にしなければならないわけではないということです。

そのため、たとえ免責不許可事由に該当するケースであっても、特にその行為に悪質なものがなければ、裁判官の裁量(破産者の借入れ理由や事情、使途等を総合的に判断した)によって、免責許可の有無が下されているというのが実情です。